インドネシア人の国民性と宗教の習慣|職場での配慮と受け入れの手続き

「インドネシア人は宗教の決まりが多いと聞くから、職場で特別な対応がたくさん必要になりそう」。インドネシアは国民の多くがイスラム教徒で、礼拝や断食、食べ物の制限といった習慣が紹介されることが多いため、受け入れのハードルが高いと感じる経営者の方は多いはずです。

しかし、インドネシアで働いた経験を持つ支援責任者のもとで、インドネシア人材と受け入れ企業の双方を支援してきた株式会社あゆみの立場から言えるのは、宗教や生活の習慣は「特別扱い」として考えるより、勤務の段取りに最初から組み込んでおけば、多くの職場で無理なく両立できるということです。必要になるのは大がかりな設備よりも、休憩の取り方や食事の用意、シフトの組み方といった小さなルールです。

本記事では、インドネシアの基本情報と日本で働くインドネシア人の現状から、国民性の背景、宗教の習慣と職場での配慮、受け入れの手続きまで、インドネシアを知る登録支援機関の視点でお伝えします。

目次

インドネシアの基本情報

インドネシアは、1万7,000を超える島々からなる東南アジアの国で、人口は約2億8,000万人と世界で4番目に多い国です。国民の平均年齢は30歳前後と若く、働く世代が多いことも特徴です。

項目内容
正式名称インドネシア共和国
首都ジャカルタ(カリマンタン島への首都移転が進められている)
人口約2億8,000万人(世界第4位)
言語インドネシア語(公用語)、ジャワ語など各地域の言語
宗教イスラム教が約9割、ほかにキリスト教、ヒンドゥー教、仏教など
民族ジャワ人、スンダ人など300を超える民族
通貨ルピア
日本との時差ジャカルタは日本より2時間遅い(地域により時差は異なる)

インドネシアは「多様性の中の統一」を国の標語に掲げる多民族・多宗教の国です。イスラム教徒が多数を占める一方で、バリ島ではヒンドゥー教徒が多く、キリスト教徒が多い地域もあります。同じインドネシア出身でも、出身地域や宗教によって食事や生活の習慣が違うため、出身地と信仰を本人に確かめるところから受け入れの準備が始まります。

公用語のインドネシア語はアルファベットで表記し、発音もローマ字読みに近いため、日本人にも比較的覚えやすい言語です。挨拶の「スラマッパギ(おはよう)」や「トゥリマカシ(ありがとう)」をいくつか覚えておくだけでも、入国直後の本人の緊張をやわらげる効果があります。

日本で働くインドネシア人の現状

日本で働くインドネシア人は、特定技能を中心に大きく増えています。出入国在留管理庁の公表では、2025年末の在留インドネシア人は前の年から33.2%増え、特定技能のインドネシア人は2025年6月末時点で6万9,537人と、国籍別でベトナムに次ぐ2番目の規模です。

分野別では、介護や飲食料品製造業、農業、外食業などで働く人が多くいます。インドネシアは2008年から経済連携協定(EPA)で看護師・介護福祉士の候補者を日本へ送り出してきた国で、介護の分野で働くインドネシア人には長い受け入れの歴史があります。

インドネシアの人が日本で働く理由として多く挙がるのは、母国より高い収入を得て家族を支えたいという思いと、日本の技術や働き方を身につけたいという思いです。インドネシアでは日本のアニメや製品が広く親しまれており、日本で働くことに前向きな印象を持つ人が多いと言われています。

インドネシア人の国民性を知る3つのポイント

インドネシア人の国民性として語られる「おおらか」「助け合いを大切にする」といった特徴は、家族と地域のつながり、争いを避けて調和を保つ文化、時間に対する感覚の違いという3つの背景から読み解くと、職場での行動の理由がつかみやすくなります。ただし、どの特徴もあくまで傾向であり、一人ひとりの性格や考え方は違います。

家族と地域の助け合いを重んじる価値観

インドネシアには「ゴトン・ロヨン」と呼ばれる助け合いの考え方が根づいており、家族や地域の人が困っていれば手を貸すことが当然とされています。職場でも、同僚を手伝う、チームで協力して作業を進めるといった場面で、この考え方が表れやすいと感じます。

家族とのつながりも強く、母国の家族へ仕送りをする人や、家族の冠婚葬祭のために帰国を希望する人が少なくありません。家族の病気や行事で急に休みや帰国を相談されることもあるため、一時帰国の希望を事前に聞き取り、繁忙期と重ならないよう年間の計画に入れておくと、本人も職場も予定を立てやすくなります。

人前で注意されることを避ける文化

インドネシアでは、人前で強く叱られたり、相手に恥をかかせたりすることを避ける文化があります。相手の気持ちを害さないよう、はっきり断らずに「大丈夫です」と答えたり、困っていても口に出さなかったりすることもあります。

注意や指導が必要なときは、周りに人がいない場所で、理由とともに具体的に伝えると受け止めてもらいやすくなります。とりわけ見落とされがちなのが、「はい」という返事が「理解した」ではなく「聞いている」という意味で使われることがある点で、作業の手順を本人に説明してもらうなど、理解の度合いを確かめる工夫が役に立ちます。

時間に対するゆるやかな感覚

インドネシアには「ジャム・カレット(ゴムの時間)」という言葉があり、約束の時刻が多少ずれても気にしない感覚が社会に広くあります。大都市の交通渋滞で予定どおりに動けないことが多い環境も、この感覚に影響していると言われます。

ただし、時間の感覚は環境によって変わります。日本の職場では始業時刻や休憩時間を守ることが前提であると、入社時に理由を含めて伝え、出勤時刻を記録する仕組みを用意しておけば、多くの人はすぐに日本の時間の使い方に慣れます。時間の感覚の違いは本人の能力や意欲の問題ではなく、ルールを伝える順番の問題だと受け止めることが、指導の出発点になります。

職場で配慮したいイスラム教の3つの習慣

インドネシア人の約9割が信仰するイスラム教には、礼拝、断食、食事の制限という、職場の段取りに関わる3つの習慣があります。どこまで戒律を守るかには個人差があるため、受け入れ前に本人と話し合い、職場で対応できる範囲を決めておくことが大切です。

1日5回の礼拝

イスラム教徒は、夜明け前から夜まで1日5回の礼拝を行います。勤務時間中に重なるのは昼と午後の1〜2回が多く、1回の礼拝は5〜10分ほどで終わります。

職場では、休憩時間に礼拝を済ませられるよう休憩の時間帯を調整する、更衣室や空いている部屋の一角を礼拝に使えるようにする、といった配慮で対応できることがほとんどです。礼拝の前には手足を水で清める習慣があるため、手洗い場の使い方も事前に決めておくと戸惑いがありません。

ラマダン(断食月)

イスラム暦の9月にあたるラマダンの約1か月間、イスラム教徒は日の出から日没まで飲食を控えます。ラマダンの時期は毎年約11日ずつ早まり、2027年は2月上旬から3月上旬ごろの予定です。

断食中は体力が落ちやすいため、介護の入浴介助や農作業のような体を使う仕事では、休憩をこまめに取れるようにする、暑い時間帯の作業を調整するといった配慮が必要です。断食を行うかどうかや、仕事中に水分を取るかどうかの判断は本人によって違うため、ラマダンの前に本人と話し合い、体調が悪いときにはすぐに申し出てもらうよう伝えておきます。ラマダン明けの大祭(レバラン)は、家族と過ごす最も大切な行事で、休みの希望が出やすい時期でもあります。

豚肉とアルコールを避ける食事

イスラム教では、豚肉とアルコールを口にすることが禁じられています。豚肉そのものだけでなく、ラードやゼラチン、豚由来のエキスを含む調味料を避ける人も多く、イスラムの教えに沿って処理された「ハラール」の食品を選ぶ人もいます。

社員食堂や歓迎会、社員旅行で食事を用意するときは、食べられないものを事前に本人へ確認し、原材料が分かる料理を選ぶと安心です。住居の近くにハラール食品を扱う店があるか、通販で手に入るかを入国前に調べておくと、本人が日々の食事に困らずに済みます。

注意点
イスラム教徒であっても、礼拝や断食をどこまで行うかは人によって違います。「イスラム教徒だからこうするはず」と決めつけず、本人の考えを聞いたうえで職場のルールを決めてください。

インドネシア人を受け入れるときの手続き

インドネシア人を特定技能で受け入れる場合は、日本側の在留資格の手続きに加えて、インドネシア政府が定める手続きが必要です。2019年6月に日本とインドネシアの間で特定技能に関する協力覚書が結ばれており、この取り決めに沿って手続きが進みます。

手続き主な内容
IPKOLへの求人登録インドネシア労働省の求人システムに、受け入れ企業が求人と雇用契約を登録
SISKOP2MIへの登録本人が海外労働者の管理システムに登録し、ID番号を取得
E-PMIの取得移住労働者証の発行を受ける(海外からの入国、国内在住者の在留資格の変更のどちらでも必要)

海外から呼び寄せる場合と、日本に住むインドネシア人の在留資格を特定技能へ変更する場合とで、手続きの順番や駐日インドネシア大使館での手続きの有無が変わります。技能実習を良好に修了した人を同じ企業で引き続き雇う場合は、IPKOLへの登録を求められないこともあります。

インドネシア側の手続きを証明する書類は日本の在留資格の申請では求められませんが、手続きが済んでいないとインドネシアを出国できない場合があります。手続きの詳細は運用が変わることもあるため、最新の内容は駐日インドネシア大使館や、在留手続きを担当する行政書士に確認してください。

インドネシアを知る支援者が受け入れで見ている点

インドネシア人の受け入れでつまずきやすいのは、宗教や文化の違いそのものより、違いを本人と話し合う機会がないまま仕事が始まってしまうことです。インドネシアで働いた経験から見ると、受け入れ前に次の3つの点を本人と確かめておくと、入職後のすれ違いを大きく減らせると感じています。

  1. 礼拝や断食をどこまで行うか、職場でどの時間帯・場所なら礼拝できるか
  2. 食べられないものと、住まいの近くで食材を手に入れる方法
  3. 一時帰国を希望する時期(レバランなど)と、職場の繁忙期との兼ね合い

インドネシアで暮らすと、礼拝の時間に合わせて仕事の段取りを組むことや、ラマダン中に職場全体で働き方を変えることが、ごく当たり前に行われていると分かります。日本の職場で同じことをすべて再現する必要はありませんが、「どの習慣をどこまで職場で受け止めるか」を最初に決めておくことが、本人の安心と職場の公平さの両方を保つ手立てになります。

久留米市や大牟田市、柳川市のように、外国人向けの食料品店や礼拝の場所が都市部ほど多くない地域では、住まいを決める段階で生活の環境まで考えておく必要があります。ハラール食品を買える店までの距離や、近くにモスク(礼拝所)があるかどうかは、本人が地域で長く暮らせるかを左右する点の一つです。

インドネシア人材の受け入れについて相談する

礼拝や断食への職場での対応、住まいと食事の準備、入国前に本人と話し合っておきたいことなど、インドネシア人材の受け入れで迷う点があれば、株式会社あゆみにご相談ください。

問い合わせフォームで相談する

お電話でのご相談:070-8461-0588(9:00〜22:00)

株式会社あゆみのインドネシア人材の受け入れ支援

株式会社あゆみは、福岡県みやま市に拠点を置く登録支援機関で、インドネシアとミャンマーの外国人材を受け入れる企業を支援しています。インドネシア駐在の経験を持つ支援責任者が、受け入れ企業と外国人材の双方の立場を踏まえて対応している点が、あゆみの特徴です。

インドネシア人材の受け入れでは、次のような支援を行っています。

  • 入国時の送迎、住居と家具・家電の手配
  • 携帯電話の契約、住民票などの登録手続き、銀行口座の開設のサポート
  • 日本語学習のサポート
  • インドネシア語・英語での生活上の相談、職場でのすれ違いやトラブルへの対応

あゆみは、企業の人手不足を解消することと、働く外国人が安心して暮らせることの両方を大切にしています。入国に必要な書類の作成は提携行政書士へ依頼でき、在留手続きは行政書士、生活と仕事の支援はあゆみと役割を分けて進めます。

よくある質問

インドネシア人は何語を話す?

インドネシア人の多くは、公用語のインドネシア語を話します。家庭ではジャワ語やスンダ語など地域の言葉を使う人も多く、英語を話せるかどうかには個人差があります。職場では日本語を基本にしつつ、必要に応じてインドネシア語の通訳や翻訳を使うと伝わりやすくなります。

礼拝のために専用の部屋は必要?

礼拝のための専用の部屋がなくても、多くの職場で対応できます。礼拝は清潔で静かな場所があればでき、更衣室や会議室の一角を休憩時間に使えるようにするだけで対応している職場も多くあります。場所と時間帯を本人と話し合って決めてください。

インドネシア人の名前で気をつけることは?

インドネシア人の名前で気をつけたいのは、姓(名字)を持たない人がいることです。名前が一つだけの人もおり、書類上の名前と普段の呼び名が大きく違うこともあるため、雇用契約書や名簿は在留カードの表記に合わせて登録し、職場での呼び方は本人に確認します。

女性のスカーフは仕事中も外さない?

イスラム教徒の女性が身につける「ジルバブ(ヒジャブ)」は、信仰に基づくもので、仕事中も着用を続ける人が多くいます。介護や食品の現場で衛生面や安全面の決まりがある場合は、制服に合う形や素材のものを選んでもらうなど、本人と相談して着用の方法を決めます。

まとめ|宗教の習慣を段取りに組み込む受け入れ

インドネシアは人口約2億8,000万人の多民族・多宗教の国で、日本で働くインドネシア人は特定技能を中心に増え続けています。国民性として語られるおおらかさや助け合いの意識は、家族と地域のつながり、調和を重んじる文化から生まれた傾向であり、一人ひとりの性格は異なります。

インドネシアで働いた経験を持つ支援責任者のもとで受け入れを支援している株式会社あゆみが大切にしているのは、宗教や文化の違いを企業と外国人材の双方が納得できる形でルールにしていくことです。礼拝、断食、食事、一時帰国といった習慣を受け入れ前に本人と話し合い、勤務の段取りに組み込んでおくことが、インドネシア人材と長く働くための土台になります。

インドネシア人材の受け入れを相談する

インドネシア人材の受け入れを検討している企業の方や、すでに働いているインドネシア人職員とのコミュニケーションに悩んでいる方は、株式会社あゆみへご相談ください。インドネシア語での支援を含め、入国後の生活から入職後の相談まで一貫して対応します。

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お電話でのご相談:070-8461-0588(9:00〜22:00)

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