ミャンマー人の国民性と文化|職場で知っておきたい習慣とタブーを解説
「ミャンマー人は穏やかで真面目な人が多いと聞くから、受け入れても特に心配はなさそう」。外国人採用の情報では、ミャンマー人の国民性を「温和」「親日」といった言葉でまとめた紹介が目立つため、そうした印象を持つ方は多いはずです。
しかし、インドネシア・ミャンマーの外国人材と受け入れ企業の双方を支援してきた株式会社あゆみの立場から言えるのは、ミャンマー人を性格の傾向で理解しようとするより、行動の背景にある宗教や家族、名前や作法といった生活習慣を知っておくほうが、職場でのすれ違いを減らしやすいということです。性格には一人ひとり違いがありますが、習慣は事前に学んで準備できます。
本記事では、ミャンマーの基本情報と日本で働くミャンマー人の現状から、国民性の背景、名前や挨拶の習慣、職場で避けたいこと、採用前に確かめておきたい出国の手続きまで、外国人材の受け入れを支える立場からお伝えします。
ミャンマーの基本情報
ミャンマーは東南アジアの西端にある国で、国民の約9割が仏教徒の多民族国家です。タイ、ラオス、中国、インド、バングラデシュと国境を接し、南はアンダマン海とベンガル湾に面しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | ミャンマー連邦共和国 |
| 首都 | ネピドー(最大の都市はヤンゴン) |
| 人口 | 約5,000万人台 |
| 言語 | ミャンマー語(公用語)、各民族の言語 |
| 宗教 | 仏教(上座部仏教)が約9割、ほかにキリスト教、イスラム教など |
| 民族 | ビルマ族が多数を占め、政府は135の民族を公認 |
| 通貨 | チャット |
| 日本との時差 | 日本より2時間30分遅い |
ミャンマー人という言葉は、ミャンマー国籍を持つ人全体を指します。ビルマ族のほかに、シャン族、カレン族、カチン族など多くの民族が暮らしており、民族によって母語や宗教、食文化が違うことがあります。同じミャンマー出身でも、出身地域や民族で生活習慣に幅がある点は、受け入れる側が最初に押さえておきたい事実です。
公用語のミャンマー語は、文字が丸い形をした独自のもので、日本語と同じく「主語、目的語、動詞」の順に言葉を並べます。語順が同じであることは日本語を学ぶうえで有利に働くと言われますが、日本語の習得の早さには学習の時間や環境による個人差があります。
日本で暮らし働くミャンマー人の現状
日本に住むミャンマー人は近年大きく増えており、なかでも特定技能で働く人の伸びが目立ちます。出入国在留管理庁の公表では、2025年末の在留ミャンマー人は前の年から35.7%増え、特定技能のミャンマー人は2025年6月末時点で3万5,640人と、国籍別でベトナム、インドネシアに次ぐ規模になっています。
分野別では、介護や飲食料品製造業で働く人が多く、介護の現場ではミャンマー人の職員が珍しくなくなりました。ミャンマーでは日本語能力試験の受験者が多く、日本で働くことを目指して日本語や介護を学ぶ人が多いことも、介護分野での受け入れが広がった理由の一つです。
ミャンマーは2021年2月の政変以降、国内の情勢が不安定な状態が続いています。日本政府は、日本に住むミャンマー人が情勢を理由に帰国できない場合に在留や就労を認める緊急避難措置をとっており、留学や技能実習から別の在留資格へ移って日本で働き続ける人もいます。
ミャンマーの情勢や出国の手続きは、時期によって状況が変わります。採用の計画を立てる際は、最新の情報を登録支援機関や送り出し機関を通じて確認してください。
ミャンマー人の国民性を知る3つのポイント
ミャンマー人の国民性として語られる「穏やか」「目上の人を敬う」といった特徴は、生活に根づいた仏教、家族と年長者を大切にする価値観、人前で面子を保つ文化という3つの背景から読み解くと、職場での行動の理由が見えてきます。ただし、どの特徴もあくまで傾向であり、一人ひとりの性格や考え方は違います。
生活に根づく上座部仏教
ミャンマーで多くの人が信仰する上座部仏教では、良い行いを積むことが来世を含めた幸せにつながると考えられており、寄付や僧侶への食事の施しが日常の中で行われています。困っている人を手伝う、周りと争わずに物事を進めるといった行動は、この徳を積む考え方と結びついています。
僧侶や仏像への敬意は特に強く、寺院では靴を脱いで入るのが一般的です。満月の日など仏教に関わる日には、寺院へお参りしたり戒律を守って過ごしたりする人もいるため、勤務のシフトを組む際に希望を聞いておくと、本人も安心して働けます。
家族と年長者を敬う価値観
ミャンマーでは家族のつながりが強く、日本で働く目的の一つに、母国の家族への仕送りを挙げる人が多くいます。年長者や上司を敬う意識も強いため、上司の指示には素直に従い、自分から反対意見を言うことは控えがちです。
裏を返せば、わからないことがあっても「わかりました」と答えてしまい、後から作業の誤りに気づく場面が起こりえます。指示を出した後に「どこまで終わったか」を具体的に聞く、手順を本人に説明してもらうといった確認の仕方を取り入れると、上下関係を重んじる文化と仕事の正確さを両立できます。
人前で面子を保つ文化
ミャンマーでは、人前で叱られたり恥をかかされたりすることを強く避ける文化があります。家庭や学校で大声で叱られる経験が日本より少ないとも言われ、多くの人の前で強く注意されると、内容よりも恥をかいたことのほうが心に残ってしまいます。
注意や指導が必要なときは、別室など周りに人がいない場所で、できていることを伝えたうえで直してほしい点を具体的に話すと伝わりやすくなります。とりわけ見落とされがちなのが、不満があっても口に出さずに我慢してしまう傾向があることで、定期的な面談で困っていることを聞く機会を設ける意味はここにあります。
職場で知っておきたいミャンマーの習慣
ミャンマー人と一緒に働くうえで、事前に知っておくと戸惑いが減る習慣は、名前の付け方、挨拶の仕方、人を呼ぶときのしぐさの3つです。どれも日本とは仕組みが違うため、知らないと誤解につながりやすい習慣です。
姓がない名前の付け方
ミャンマー人の名前には、日本のような姓(名字)がありません。親子や夫婦でも名前に共通する部分はなく、生まれた曜日によって名前の最初の文字を選ぶ習慣が広く残っています。
名前の前には、年齢や立場に応じた敬称が付きます。成人男性には「ウー」、成人女性には「ドー」、若い男性には「コー」や「マウン」、若い女性には「マ」が使われ、敬称は名前の一部ではありません。雇用契約書や社内の名簿では、在留カードやパスポートの表記に合わせて登録し、職場での呼び方は本人に希望を聞いて決めると、書類と呼び名の食い違いを防げます。
挨拶をあまり口にしない習慣
ミャンマーには「ミンガラーバー」という挨拶の言葉がありますが、家族や親しい人の間で毎日交わす習慣はあまりありません。日本の職場のように、出勤時や退勤時に毎回声をかけ合う文化に、最初は慣れていない人もいます。
挨拶をしないのは礼儀を欠いているからではなく、習慣の違いによるものです。入社時のオリエンテーションで「日本の職場では、出勤や退勤のときに挨拶をする」と理由も含めて伝えておくと、多くの人はすぐに身につけます。
舌打ちに聞こえる呼びかけの音
ミャンマーでは、人を呼んだり注意を引いたりするときに、唇や舌を鳴らす短い音を出す習慣があります。日本人には舌打ちのように聞こえるため、不快に感じたり、怒っていると誤解したりすることがあります。
この音に、相手を見下したり不満を示したりする意味はありません。日本では舌打ちが失礼にあたることを、生活オリエンテーションなどで穏やかに伝えておくと、本人が職場や地域で誤解されることを防げます。
ミャンマー人と働くときに避けたい4つのこと
ミャンマー人と働く際に、本人を傷つけたり信頼を損ねたりしやすい行動は、次の4つです。どれも悪気なくしてしまいがちな行動のため、職場全体で共有しておくことをおすすめします。
- 人前で強く叱ること(面子を傷つけ、信頼関係が崩れやすい)
- 頭に触れること(頭は神聖な場所とされ、子どもの頭をなでる行為も嫌がられることがある)
- 僧侶や仏像を軽く扱うこと(仏像の写真をふざけて扱う、仏像に足の裏を向けるなど)
- 不満がないと決めつけること(我慢して口に出さないことがあり、気づいたときには離職を考えていることもある)
このほかに、女性の体に触れることや、人に向けて足の裏を見せることも避けたほうがよい行動です。日本人同士では気にならない肩をたたくしぐさも、異性の間では控えるのが無難です。
4つのうち最初の3つは、知っていれば防げる行動です。一方で4つ目は、本人が困っていることを話せる仕組みがあって初めて防げます。1号の特定技能外国人には、3か月に1回以上の定期的な面談が義務付けられており、母語で相談できる場を持つことが、我慢の積み重ねを早めに拾い上げる手立てになります。
ミャンマー人の採用前に確かめる出国の手続き
ミャンマーから新たに人材を呼び寄せる場合、日本側の在留資格の手続きとは別に、ミャンマー側の出国の手続きが必要です。海外で働くミャンマー人は、ミャンマーの労働省が発行する海外労働身分証明カード(OWIC、通称スマートカード)を取得しなければならず、近年はOWICに加えて出国前に労働当局の許可を求める運用も示されています。
この出国の手続きは、2021年以降たびたび運用が変わっており、発給の件数が絞られたり、就労目的の出国に年齢や性別による制限がかけられたりした時期がありました。日本の在留資格認定証明書は交付から3か月以内に入国しないと使えなくなるため、ミャンマー側の手続きが長引くと、日本側の準備が整っていても予定どおりに入国できないことがあります。
ミャンマーから呼び寄せる計画では、入国の時期に幅を持たせておくことが欠かせません。手続きの最新の運用は、送り出し機関や登録支援機関、在留手続きを担当する行政書士に確認してください。
こうした事情から、日本国内にすでに住んでいるミャンマー人を採用する方法もあわせて検討する企業が増えています。技能実習を終えた人や、介護の技能試験に合格した留学生などは、在留資格の変更で特定技能へ移れるため、ミャンマー側の出国手続きを経ずに受け入れられます。海外からの受け入れと国内在住者の採用のどちらが合うかは、必要な人数と働き始めてほしい時期で判断します。
株式会社あゆみのミャンマー人材の受け入れ支援
株式会社あゆみは、福岡県みやま市に拠点を置く登録支援機関で、インドネシアとミャンマーの外国人材を受け入れる企業を支援しています。英語・インドネシア語に加えてミャンマー語にも対応しており、入国後の生活の立ち上げから入職後の相談まで、本人が理解できる言葉で支えます。
ミャンマー人材の受け入れでは、次のような支援を行っています。
- 入国時の送迎、住居と家具・家電の手配
- 携帯電話の契約、住民票などの登録手続き、銀行口座の開設のサポート
- 日本語学習のサポート
- 生活上の相談、職場でのすれ違いやトラブルへの対応
あゆみは、企業の人手不足を解消することと、働く外国人が安心して暮らせることの両方を大切にしています。名前の登録や挨拶の習慣、職場での指導の仕方など、本記事で触れたような文化の違いから生じる戸惑いにも、企業と外国人材の間に入って一緒に向き合います。入国に必要な書類の作成は提携行政書士へ依頼でき、在留手続きは行政書士、生活と仕事の支援はあゆみと役割を分けて進めます。
ミャンマー人材への支援について相談する
ミャンマーからの呼び寄せと国内在住者の採用のどちらが合うか、入国後の生活の準備をどう進めるかなど、受け入れ前の段階からご相談いただけます。
問い合わせフォームで相談するお電話でのご相談:070-8461-0588(9:00〜22:00)
よくある質問
ミャンマー人は何語を話す?
ミャンマー人の多くは、公用語のミャンマー語を話します。ただし少数民族の人は、家庭ではシャン語やカレン語など民族の言葉を使っていることがあります。英語は学校で学ぶものの、話せる程度には個人差が大きいため、職場では日本語とあわせて、必要に応じてミャンマー語の通訳や翻訳を使うと伝わりやすくなります。
ミャンマー人は日本語を覚えやすい?
ミャンマー語は日本語と語順が同じため、文の組み立てを理解しやすい面があります。一方で、漢字やカタカナの読み書きには時間がかかる人も多く、習得の早さは学習時間や職場の環境によって変わります。仕事で使う言葉を優先して学べる機会を用意すると、現場での上達につながります。
ミャンマー人の食事で配慮することは?
ミャンマー人の食事では、宗教や信条による食べ物の制限に配慮が必要な場合があります。仏教徒の中には牛肉を食べない人がおり、イスラム教徒であれば豚肉やアルコールを口にしません。歓迎会や社員旅行で食事を用意するときは、食べられないものがないかを事前に本人へ確認してください。
ミャンマーの大事な行事にはどんなものがある?
ミャンマーで最も大切にされる行事は、毎年4月中旬の水かけ祭り(ティンジャン)で、ミャンマーの正月にあたります。家族と過ごしたり寺院へ参ったりする時期のため、日本で働く人も特別な思いを持っていることが多く、この時期に休みの希望が出たときは、できる範囲で相談に応じると本人の安心につながります。
まとめ|性格より習慣で理解するミャンマー人
ミャンマーは国民の約9割が仏教徒の多民族国家で、日本で働くミャンマー人は特定技能を中心に増え続けています。国民性として語られる穏やかさや目上の人への敬意は、仏教、家族、面子を大切にする文化から生まれた傾向であり、一人ひとりの性格は異なります。
インドネシア・ミャンマーの外国人材の受け入れを支援している株式会社あゆみが大切にしているのは、文化の違いを知識として知るだけで終わらせず、日々の仕事と暮らしの中で企業と外国人材の双方が困らない仕組みを整えることです。名前の登録、挨拶、指導の仕方、相談の場といった習慣への備えを受け入れ前に整えておくことが、ミャンマー人材と長く働くための土台になります。
ミャンマー人材の受け入れについて相談する
ミャンマー人材の受け入れを検討している企業の方や、すでに働いているミャンマー人職員とのコミュニケーションに悩んでいる方は、株式会社あゆみへご相談ください。ミャンマー語での支援を含め、入国後の生活から入職後の相談まで一貫して対応します。
問い合わせフォームで相談するお電話でのご相談:070-8461-0588(9:00〜22:00)
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