外国人雇用で使える助成金とは?種類と2026年10月の改正点を解説
「外国人を雇えば、国から助成金がもらえるらしい」。外国人雇用の助成金を紹介する情報には「最大80万円」「1人あたり〇万円」といった見出しが並ぶため、外国人を採用すること自体に助成金が出ると考えている経営者の方も多いはずです。
しかし、特定技能外国人の受け入れを支援してきた株式会社あゆみの立場から言えるのは、外国人雇用で使える助成金の多くは「外国人を雇ったこと」ではなく「外国人が働きやすい職場を整えたこと」や「人材を育てたこと」に対して支給されるということです。助成金を受け取れるかどうかは、受け入れ後の職場づくりをどこまで計画的に進められるかで決まります。
本記事では、外国人雇用で使える主な助成金の種類と内容、2026年10月の改正点、地域の支援制度、申請の流れと注意点まで、登録支援機関の視点でお伝えします。
外国人雇用で使える助成金とは
外国人雇用で使える助成金とは、外国人労働者を雇用する事業主が、職場環境の整備や教育訓練、正社員化などに取り組んだときに、国や自治体から支給されるお金です。返済の必要はありませんが、決められた要件を満たし、事前に計画を出したうえで取り組むことが前提になります。
厚生労働省の雇用関係助成金の多くは、日本人か外国人かを問わず、雇用保険の被保険者となる労働者を対象にしています。特定技能や技能実習の外国人も、雇用保険に加入していれば多くの助成金の対象に含まれます。
助成金と補助金の違い
助成金と補助金は、どちらも返済不要の支援ですが、仕組みが異なります。
| 項目 | 助成金 | 補助金 |
|---|---|---|
| 主な所管 | 厚生労働省(雇用・労働に関するもの) | 経済産業省や自治体など |
| 受給の考え方 | 要件を満たせば原則として受給できる | 予算や採択枠があり、審査で選ばれる |
| 募集の時期 | 通年で受け付けるものが多い | 公募期間が決まっているものが多い |
| 主な目的 | 雇用の安定、職場環境の改善、人材育成 | 事業の拡大や設備投資、地域の課題解決 |
外国人雇用で中心になるのは厚生労働省の助成金です。自治体が独自に設ける補助金は、予算に達した時点で受け付けが終わることが多いため、募集の時期を早めに確かめておく必要があります。
外国人を雇うだけでもらえる助成金はない
外国人を雇っただけで支給される助成金はありません。どの助成金も、職場環境の整備や研修の実施、正社員への転換など、雇用した後の取り組みが支給の条件です。
「1人雇うと〇万円」という説明を見かけたときは、何の取り組みに対する金額なのか、計画の提出や離職率などの要件が付いていないかを確かめることが欠かせません。
外国人雇用で使える主な助成金4つ
外国人雇用で使える主な助成金は、外国人労働者の職場定着を目的とした人材確保等支援助成金のほか、人材開発支援助成金、キャリアアップ助成金、業務改善助成金の4つです。
人材確保等支援助成金の外国人向けコース
外国人労働者就労環境整備助成コースは、外国人雇用に特化した唯一の国の助成金です。言葉や雇用慣行の違いから起きやすいトラブルを防ぎ、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主を支援します。
このコースは2026年10月1日に支給要領が改正され、受給額と要件が大きく変わりました。内容は次の章で詳しく説明します。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、従業員に職務に関連した知識や技能を身につけさせる訓練を実施した事業主に、訓練の経費や訓練中の賃金の一部を助成する制度です。外国人労働者に対して、業務に必要な技能や日本語を含む研修を計画的に行う場合に活用を検討できます。
訓練の時間数や内容、計画の事前提出などの要件があり、どのような研修が対象になるかはコースごとに細かく定められています。日本語の研修が対象になるかは、訓練の内容が職務に直結しているかどうかで判断されるため、計画の段階で労働局に確かめておきます。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、有期雇用やパートで働く従業員を正社員に転換したり、処遇を改善したりした事業主を支援する制度です。外国人労働者も、雇用保険の被保険者で要件を満たせば対象になります。
ただし、特定技能の外国人は、もともと正社員と同等の条件で雇用することが前提のため、正社員化コースの対象になる場面は限られます。留学生アルバイトから正社員として採用する場合など、雇用の形が変わるときに対象となるかを確かめるのが現実的です。
業務改善助成金
業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金を引き上げ、あわせて生産性を高める設備投資などを行った中小企業を支援する制度です。外国人に限った制度ではありませんが、外国人労働者を含む従業員の賃金を引き上げる計画がある企業は、活用を検討できます。
| 助成金 | 対象となる取り組み | 外国人雇用での主な活用場面 |
|---|---|---|
| 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース) | 雇用労務責任者の選任、就業規則などの多言語化 | 外国人の受け入れ体制を整えるとき |
| 人材開発支援助成金 | 職務に関連する訓練の実施 | 技能や日本語を含む研修を計画的に行うとき |
| キャリアアップ助成金 | 有期雇用者の正社員化、処遇の改善 | 留学生アルバイトなどを正社員に転換するとき |
| 業務改善助成金 | 最低賃金の引き上げと設備投資 | 賃上げと生産性向上を同時に進めるとき |
外国人労働者就労環境整備助成コースの内容
外国人労働者就労環境整備助成コースは、外国人労働者を雇用する事業主が、就労環境整備計画の認定を受け、計画に沿って職場の環境を整えた場合に支給されます。2026年10月1日の改正により、支給額と要件は次のようになりました。
| 項目 | 改正後の内容(2026年10月1日以降) |
|---|---|
| 対象となる事業主 | 外国人労働者を雇用している事業主 |
| 必要な措置 | 雇用労務責任者の選任、就業規則・社内マニュアルなどの多言語化 |
| 上乗せの措置 | 一時帰国のための休暇制度の整備 |
| 離職率の要件 | 計画期間終了後6か月の時点で、外国人労働者の離職率が15%以下 |
| 受給額 | 20万円(上乗せの措置も実施した場合は25万円) |
改正前は、1つの措置ごとに一定額が支給され、最大で80万円まで受け取れる仕組みでした。インターネット上には改正前の「最大80万円」という情報が多く残っているため、最新の金額は厚生労働省の公式ページで確かめてください。
改正では、雇用労務責任者の役割も明確になりました。雇用労務責任者は外国人労働者からの苦情や相談に対応し、3か月に1回以上の面談を行うことと、所定の講習を受けることが求められます。また、改正後の支給要領による申請は、当面は電子申請ではなく、所定の書類を管轄の労働局へ持参または郵送して行います。
助成金の要件や支給額は、年度の途中でも改正されることがあります。計画を出す前に、厚生労働省の公式ページと管轄の労働局で最新の内容を確認してください。
福岡県で活用できる外国人材の支援制度
国の助成金に加えて、都道府県や市町村が独自に外国人材の受け入れを支援する制度を設けていることがあります。福岡県では、2026年度に「外国人材受入企業支援補助金」が実施されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 福岡県内に本社などがある中小企業で、パートナーシップ構築宣言を行い、技能実習生を受け入れている(または受け入れる計画がある)企業 |
| 補助の対象 | 実習生の居住環境の整備(寮のエアコン、共有の冷蔵庫や洗濯機など)や、企業の魅力を伝えるPR動画・パンフレットの作成など |
| 補助率と上限 | 対象経費の2分の1以内、上限30万円 |
| 申請期限 | 2026年11月30日必着(予算に達し次第終了) |
この補助金は技能実習生の受け入れを対象としており、特定技能の外国人は対象外とされています。特定技能で受け入れる企業は、国の助成金や、市町村が独自に設けている支援を中心に探すことになります。自治体の制度は年度ごとに内容が変わるため、福岡県や本社のある市町村、商工会議所などの窓口で最新の情報を確かめてください。
助成金を申請する流れ
雇用関係の助成金は、取り組みを始める前に計画を出し、計画どおりに実施した後で支給を申請する流れが基本です。外国人労働者就労環境整備助成コースであれば、次の順に進みます。
- 就労環境整備計画を作成し、管轄の労働局へ提出する
- 計画の認定を受ける
- 計画期間の中で、雇用労務責任者の選任や就業規則の多言語化などの措置を実施する
- 計画期間が終わった後、外国人労働者の離職率を確かめる
- 定められた期限までに支給申請を行う
- 労働局の審査を経て、支給が決定される
計画を出す前に取り組みを始めてしまうと、助成の対象にならないことがあります。とりわけ見落とされがちなのが、就業規則の翻訳などを先に済ませてしまい、後から助成金の存在を知るケースで、取り組みの順番を誤らないよう、受け入れの準備を始める段階で助成金の要件を確かめておくことが大切です。
助成金を利用するときの4つの注意点
助成金を利用するときは、次の4つの点に注意が必要です。
労働関係の法令を守っていること
助成金を受け取るには、労働関係の法令を守っていることが前提です。賃金の未払いや長時間労働などの法令違反があると、助成金を受け取れません。外国人雇用状況の届出や雇用保険の手続きを適正に行っていることも求められます。
会社都合の解雇をしていないこと
計画期間の前後に、事業主の都合で従業員を解雇していると、助成金の対象外になる場合があります。人員を整理する予定がある時期は、助成金の計画と重ならないよう注意します。
経費の全額が戻るわけではないこと
助成金は、かかった費用の全額を補うものではありません。外国人労働者就労環境整備助成コースのように定額で支給されるものや、経費の一部だけが助成されるものがあります。受け入れの費用は、助成金がなくても成り立つ計画を立てたうえで、助成金を上乗せとして考えるのが堅実です。
支給までに時間がかかること
助成金は、計画期間と離職率の算定期間を経てから申請するため、取り組みを始めてから実際に支給されるまで1年以上かかることもあります。資金繰りの計画に、助成金の入金時期を当てにしないことが大切です。
助成金より大切な外国人雇用の土台
外国人雇用の助成金の多くが求めているのは、言葉の壁をなくす、相談できる窓口を設ける、帰国の希望に応える、といった外国人が働きやすい職場の環境です。言い換えれば、助成金の要件は、外国人材に長く働いてもらうために本来整えておきたい職場の条件そのものだと見ています。
特定技能1号の外国人を受け入れる企業には、もともと相談への対応や定期的な面談、生活の支援などを行う義務があります。こうした支援をきちんと行っていれば、助成金の要件にある「苦情や相談への対応」「3か月に1回以上の面談」とも重なる部分が多くあります。
助成金は受け入れのきっかけではなく、外国人材が定着する職場づくりを後押しする仕組みとして使うことが、結果として助成金の要件を満たすことにもつながります。
外国人材の受け入れ準備を相談する
受け入れに向けた職場の環境づくりや、入職後の相談対応、定期的な面談の進め方など、外国人材の定着に向けた準備で迷う点があれば、株式会社あゆみにご相談ください。
問い合わせフォームで相談するお電話でのご相談:070-8461-0588(9:00〜22:00)
株式会社あゆみの特定技能外国人支援
株式会社あゆみは、福岡県みやま市に拠点を置く登録支援機関で、特定技能外国人の受け入れ準備から入国後の生活、入職後の相談までを一貫して支援しています。助成金の申請手続きは社会保険労務士などの専門家の業務ですが、あゆみは助成金の要件にも関わる、外国人材が働きやすい職場づくりを支えます。
主な支援の内容は次のとおりです。
- 受け入れに関するご相談と、必要な準備・支援内容のご案内
- 入国時の送迎、住居と家具・家電の手配
- 携帯電話の契約、住民票などの登録手続き、銀行口座の開設のサポート
- 日本語学習のサポート
- 定期的な面談と、入職後の生活上の相談・トラブルへの対応
対応している外国人材はインドネシアとミャンマーの方で、英語・インドネシア語・ミャンマー語で支援を行います。料金は無駄を省いたシンプルな体系で、採用人数や支援の内容によって異なります。
よくある質問
外国人を1人雇うといくら助成金がもらえる?
外国人を1人雇っただけで支給される助成金はありません。外国人労働者就労環境整備助成コースの場合、雇用労務責任者の選任や就業規則の多言語化などに取り組み、離職率などの要件を満たした事業主に、20万円(上乗せの措置を実施した場合は25万円)が支給されます。
特定技能や技能実習の外国人も助成金の対象になる?
特定技能や技能実習の外国人も、雇用保険の被保険者であれば、多くの雇用関係助成金の対象になります。ただし、助成金ごとに対象となる労働者の条件が決められているため、利用したい助成金の要件を個別に確かめてください。
登録支援機関への委託費用は助成金の対象になる?
登録支援機関への支援委託の費用は、一般的には雇用関係助成金の対象経費には含まれません。助成金は職場環境の整備や訓練など特定の取り組みに対して支給されるため、委託費用は受け入れの費用として別に見込んでおきます。
日本語教育の費用は助成金の対象になる?
日本語教育の費用は、研修の内容によって助成金の対象になる場合があります。人材開発支援助成金では、職務に関連した知識や技能を身につける訓練が対象のため、仕事で使う日本語を学ぶ研修として計画を立てられるかを、事前に労働局へ確かめてください。自治体が独自に日本語学習の費用を補助している場合もあります。
助成金の申請は誰に相談すればよい?
助成金の申請については、管轄の労働局やハローワークの窓口で相談できます。申請書類の作成や提出の代行は、社会保険労務士に依頼することもできます。
まとめ|職場づくりに使う外国人雇用の助成金
外国人雇用で使える助成金は、外国人を雇ったことではなく、職場環境の整備や人材育成などの取り組みに対して支給されます。外国人雇用に特化した人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)は、2026年10月1日の改正で受給額が20万円(上乗せの措置で25万円)となり、雇用労務責任者による相談対応や面談の要件が加わりました。
株式会社あゆみは、登録支援機関として、外国人材と受け入れ企業の双方が安心して働ける職場づくりを支えてきました。助成金を上乗せの支援として位置づけ、住まいや生活の準備、相談の体制といった受け入れの土台を整えることが、外国人材の定着と助成金の活用の両方につながります。
初めての特定技能外国人の受け入れを相談する
これから特定技能外国人の受け入れを検討している企業の方は、株式会社あゆみへご相談ください。インドネシア・ミャンマーの人材の受け入れ準備から、入国後の生活支援、入職後の相談対応まで一貫して支援します。
問い合わせフォームで相談するお電話でのご相談:070-8461-0588(9:00〜22:00)
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